地盤を読む

 

地盤を読む  

風景を読み、地盤を読む

 いくら頑丈な建物を建てても、地盤が悪く建物が沈下してしまい、そして湿気も多いの では困ってしまいます。 お金をかけて地盤改良を行なえば沈下は抑えられます。しかし、 沈下は抑えられても地震の時は 軟弱地盤ほど揺れが増幅されて伝わってしまいますので、 建物に対する 耐震性もより強いものが求められます。 地盤の見方を大きく見ますと、 基本は地形と水です。 低いと土地、水の集まる土地ほど決まって地盤が悪いものなので す。それを見分ける簡単な方法をご紹介いたします。

 

【軟弱地盤を示すランドマーク】

敷地の近辺に下記に関連するものがある場合は要注意です。  

■河川  

■水路  

■池  

■調整池  

■低地  

■谷地  

■坂下  

■水田  

■橋  

■暗渠(水路を埋立てしたもの)  

■見通しの効かないS字カーブ(水路に沿っている事が多い)  

■車両重量制限の交通標識(軟弱な地盤の場合通行が制限されています)  

■道路の路盤面の大きなひび、亀裂  

■古い行政界(昔は水路を境にして管轄区分されていました)  

■水辺を好む植物(竹、アシ、ヨシ)  

■新しい造成地のコンクリート擁壁(擁壁の裏側を地盤改良されていないと不等沈下の可能性大)  

■現状古い宅地の古い擁壁(上に載っているブロック塀の傾斜、間知石擁壁の補修やはらみ等)  

■盛土(新しい盛土は自重で長期間沈下し続けます)  

■近隣の家の外壁・基礎の大きなひび、亀裂(2〜3ミリ以上のもの)

 

【近隣から情報を得る】

近隣の人に思い切って聞いてみるのも情報を得る良い方法です。隣の家は建てる時に地盤 改良したとか、自分の家の建具が5年で閉まらなくなったとか、いろいろな情報を提供し てくれます。「ここの地域は素晴らしくとても気に入っていて、土地の購入を検討している」 と一言、言うのが教えてもらうためのポイントです。土地探しのお手伝いの時は何度も近隣 の方に聞いてみて情報をたくさん得る事が出来ました。

 

【地名から読み取る】

谷などの低地に立地している宅地で地盤調査をすると、データは軟弱な値を示す場合がほ とんどです。すなわち、地名を手掛かりにするのであれば、低地を意味するような字が付 く地名や水辺に関係のある字の付く地名を疑うことによって、地盤が軟弱かどうかをおお よそ予測することもできるのです。 水を連想させるわかりやすい字だけではなく、危険を知らせてくれる字もいろいろあって、 昔の生活の知恵や土地利用形態から付けられたであろう地名には、思いもよらない工夫が あります。 町全体が平坦であってもどこかに必ず地盤の悪い地形が潜んでいます。その中で地名を探 して見ると何かがわかるかも知れません、ただ、今風の新しい町名からはそこがかつて水 田地帯や谷が入り込んでいたことなど想像のしようもありません。  

■地形から 淵、溝、川、河、岸、滝、沢、池、谷、窪 など  

■さんずいの付く字 淀、潮、汐、清、落、洗、浮、流、湘、汲 など  

■水辺の動物 鷺、鴨、鶴、鵜、鴻、池、亀、蟹、貝、龍 など  

■水辺の植物 稲、萩、井草、葦、芦、管、蒲、蓮、柳 など  

■人工的に作られた物や構造物 田、掘、濠、堤、舟、井、橋、渡、坂、網 など  

■土質から 泥、砂、須賀(砂礫)、五味(細かな土砂)など

 

【埋没谷】

埋没谷と言う言葉はあまり聞いた事がないと思いますが、かつてあった谷筋が土砂が 堆積して埋まってしまい、地表で平坦な形状になってしまっている地形の事を言います。 埋没谷のある土地に地震が生じますと、地震波が埋設された谷の側面で反射を繰り返し、 そして複雑な波形を生みそれが増幅され、地表の揺れを大きくしてしまいます。 関東大震災においては、家屋の倒壊率と埋没谷とのあいだには明確な因果関係があった 事が指摘されている様です。埋没谷とその延長線上の谷地においては被害が多かった 地域であったことは間違いない様です。 地盤下にある埋没谷を判断するのは難しく、周りの地形を見て判断するか、地形図を 読んで判断するしかない様です。